7、デワイト・ヨァカム (Dwight Yoakam)

1956ケンタッキー州生

Dwight Yoakam

ファーストネーム[Dwight]は彼出生当時の大統領・アィゼンファーのものだ。
ベーカーズフィールド、クリスタルパレスの大画面に出ている彼の顔は、彼の
デビューを象徴している。バック・オーエンスとベーカーズフィールドサウンド後継者として活躍を始めた。しかし真似ではなくて彼は独特のサウンドと自分のスタイルを持っている。もとより彼自身はバック・オーエンスのサウンドにとても興味を抱いていたそうだ。
彼の初期の曲「LITTLE WAYS」作詞作曲本人、1987年、は26枚ある彼のアルバムの2番目の「ヒルビリー・デラックス」Hillbilly Deluxeからだ。このアルバムは僕が同年、LAに出張中に買った。最初のアルバムは「ギターズ・キャデラック」Guitars,Cadillac1986年(この曲は「勝手社会学」7、イケメン好きの女、にある)

この歌は、「彼女はちょっとした仕草や言葉で俺を傷つける」と言う内容で、曲も良い、歌い方も良い。ヒルビリーHillbillyと言うアルバムタイトルは今、差別用語であまり使われない。ホンキートンクサウンドHonky Tonkと自認していた。歌詞はさらに「彼女は俺を地面に叩きつけて粉々にする」と続くが相手は小娘だ。

僕の思い込みだがデワイトを語るとき、同世代のジョージ・ストレートGorge Strait1952年生、アラン・ジャクソンAlan Jackson1958年生、ヴィンス・ギルVince Gill1957年生と同じ傾向があった。この3人とデワイトは’80年代から活躍しはじめ、各々のスタイルとサウンドがあり、現在まで続く。彼らは皆、カントリーミュージック伝統を重んじて、さらに自分のサウンドを作り上げたと言う点で共通しているし、さらに思い込みだが、彼らの姿勢がカントリー業界を’90年代から現在まで繁栄させた。

テーマの男女関係でも彼らのバラードは一つ進んだ大人の感覚をいっている。
他の3人はファミリーマンだがデワイトは今年2020年、ようやく結婚した。
デワイトを含めこの4人は全て中西部の音楽好きの両親、中産階級の出身で貧しさとは関係のない育ちだ。

デワイトのキャリアは映画俳優として働き過ぎたのではないか、と感じる。
映画ではビリー・ボブ・ソートンBilly Bob Thorntonの「スリングブレード」Sling Brade,1996年、準主役が代表で、他20本以上の映画と多くのテレビドラマに出ていた役者だ。
話はそれるがボブ・ソートンはなかなかの人であのビッチ、アンジェリーナ・ジョリーの腕に大きく自分の名をタッツーさせ、合計6度結婚した男だ。この映画も彼の自作、そのボブ・ソートンに認められたほどだからデワイトは相応の役者としての存在感はあった。

彼の声、裏声falsettoを使い高低に特徴がある。甘い声だが悲しい感じが出ている。
彼の衣装 ピチピチのボロに見えるジーンズ、深いカーボーイハットと派手な上着、滑りの良いブーツがステージでは一貫している。

独特のスタイル、バックの仲間とある
彼の振り付けは、 脚を引きずり登場し、唄いながら脚を動かす、ギターを下向、上向ける、と特徴的である。顔はカウボーイハットに隠れている。
彼のサウンドは最初からドラムス、ベース、エレキギターの低い音を駆使したリズムには新しさがあった。
「SAD SIDE OF TOWN」は彼とバックの共作と言われているが、デワイトの色が濃い。

「俺たちは過去について語らないと約束した、しかし街の悲しい側にいたころの彼女は小さいながらも希望や夢があり、それがだんだん大きくなった、云々。」
Tomorrow’s Sounds Today」と言うアルバム、2000年。

デワイトは良いバラードを多く書いて自分のスタイルで唄った。感じからすると彼のサウンドの街はロサンジェルスだ。

バック・オーエンスはデワイトを自伝でべた褒めしていた。
「最初、彼が来たときなんて細い奴だと、それに膝の破れたジーンズ」と。
バックはドン・リッチが事故死して以来、やる気をなくしたがデワイトと会い、また音楽をやる意欲を持ったとしていた。

「ストリート・オブ・ベーカーズフィールド」STREET OF BAKERSFIELDは1973年にバックがホーマー・ジョイHomer Joyと言うライターにハンク・ウイリアムス調の曲という注文で書かれたものだが、1988年にバックとデワイトのデュオで登場した。
「サンフランシスコで喰い詰めた若者がベーカーズフィールドに流れて来る。人々は俺を知らず、好きではないようだが、ここには何かがあると・・」
曲のリズムはバスク人のポルカだ。評にはメキシコ調とも書いてある。

ジョニー・ホートンJonny Horton 1956年「ホンキートンクマン」HOKEY TONK MANはコミカルな曲だ。
バック・オーエンスの持ち歌だった。歌詞は「ホンキートンクに居続けたオヤジが女房に電話して金を持って来てもらう」と言うもので、デワイトのバージョンはラスベガスを意識していた。曲が良い、演奏が良い、歌い方が良いで彼のアーバンカウボーイ・サウンドとしても真骨頂だ。彼の歌は長年聞いていても飽きない。
以前、彼はゲイではないかと言う話が出たとき、「それはないね」と否定した人がゲイだったので、そうではないだろう。
美人のカメラマンとめでたく結婚し、頭は禿げたが帽子がある。新しいアルバムに期待したい。以上