ハンズ・オン・ザ・ホィール(Hands on The Wheel)

ウィリー・ネルソンの十八番のひとつ。
題名は直訳すると「運転している・・何処かに向かっている」と言う意味だ。つまり車を転がしながらこの混沌とした世の中の自分をいろいろ考えている、と言う状況ことなのだろう。
良い曲だ。4分3拍子、ワルツで、歌詞が素晴らしい。思い当たる情景だ。
コロナになり4年前から音をヘッドフォーンなどで調整できる、エレキギター、フェンダーのテレキャスター(Fender Telcaster1950年モデル)復刻版、日本製にした。それで少しメロディーを練習した。思えばギターは10年間やっている。

この曲はウィリー・ネルソン(Willie Nelson)のアルバム1975「Red Headed Stranger(赤毛の流れ者)」の最終曲に入っている。(題訳筆者)


彼の項で書いたが、このアルバムは一人の荒くれ者が人を殺し、逃げるシーンで綴ってある。一つ一つの歌がまとまり、ひとつのストーリーなのだ。
この曲はフィナーレ、ストーリーの結末だが、詩を読む限りは悲惨なものか、なんとか救われたのかは不明。
原曲はメキシコのローハスの作曲
この曲はウィリー・ネルソンが作ったものと永い間、誤解していた。
調べたら、原曲はメキシコの作曲家・バイオリンニスト、フベンティーノ・ローサス(Juventro Rosas)グアダガハラ生 1968-1894、若くして亡くなったがとても多くの曲をメキシコシティの出版社からだしていた、彼の作った曲だった。古い曲だ。(ただし原曲は聴いていない、スペイン語の詩も知らない。)

26才で亡くなったローサス

彼はワルツ、ポルカ、ダンスなどいろいろな曲を書いている。「波濤を越えて(Over the Waves)」も彼の曲だ。「赤毛の流れ者」にはこの曲も入っている
ワルツとして交響楽団で演奏されている曲だが、いろんな映画のホンキートンクシーン、酒場のピアノ演奏で有名だ。


メキシコフィルファモニーオーケストラの「波濤を越えて」
Valas Sobre Lasolas by Orqauesta Sinfonica del iPN.mecico

メキシコ鉄道のソングブック

この曲はメキシコ鉄道が米国路線開設に際して、配ったソングブックに
収納されていたようだ。
この本の実物は見たことがないが、「La Golondrinaラ・ゴロンドリーナ(つばめ)」N.Seradel(ナルシソ・セラデル・セビージャ)1862作、
「Celito Lindo」キリノ・メンドーサ・コルテス1882作、
「Estrellitaエストレリータ(小さな星)」Marnuel Ponce(マヌエル・マリア・ポンセ)などが入っていたと言われている。鉄道は米国にメキシコ音楽を紹介し、客をよぶ、しかし洒落たプロモーションだった。
メキシコ歌曲は中西部の酒場で演奏され、カントリー曲にもなった。テハノと呼ばれるテキサス・メキシコの音源のひとつだったのだろう。
ラ・ゴロンドリーナ(つばめ)」はサム・ペキンパーの映画「ワイルド・バンチ」
Sam Peckinpha‘s Wild Bunch1967の主題曲だ。


アクションシーンは鉄道の駅から始まり、テキサスとメキシコの鉄道が登場した。メキシコ鉄道路線、現在、20世紀初頭には米国路線に接続された。

メキシコ鉄道建設はベルギーなど欧州の技術で19世紀半ばから始まり、メキシコシティとグアダガハラが最初1849の路線だった。その後米国と主に3本の路線で結ばれた。カルフォルニア、ニューメキシコそしてテキサス。
山間部が多く、大変な鉄道であったようだ。

Placido DomingoのLa Golondrina

Yutube placido domingo la golondrina from mexico

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歌手ウィル・キャリー(Will Callery)が歌詞を・・

そして1970年頃か、テキサスの歌手、ウィル・キャリー(Will Callery)1944生、が詩をつけたようだ。彼と同姓同名で同じくらいの年齢、ビル・キャリー中尉がいた。(ベトナム戦争のソンミ村殺害の責任者、有罪となった。)それで彼はビルと言わず、ウィルにしたのかもしれない。
ウィルは渋い男だ。
オリジナルのスペイン語の歌詞はどのようなものだったか?不明だが、興味がある。“Whell”、車のハンドルと言う意味は、19世紀、ローハスの時代には無かったはずで、違う詩だっただろう。

ウィルの歌う曲はみな宗教的ですらある。Hands on the Wheel も例外でない。
これも大ヒットではないが、延々と歌われてきている。
ウィリー の歌詞はウィルのものとほぼ同じだが、「鯨を釣りに」などが具体的になっており少し違う。

ウィル・キャリー(Will Callery)とウィリー・ネルソン(Willie Nelson)1970年代初頭

Will Callery Hands on the wheel feat. Denny Book

「ハンズ・オン・ザ・ホィール」歌詞 日本語訳筆者

「彷徨と行処へ」

救いようなく混沌としているこの世の中・・を
欺く人、信じる人、そしてその中間も・・どうなるのだろう・・
何が正しくそして間違いか・・あの同じ歌・・が聞こえてくる・・
俺はせいぜい、精一杯生きたい・・
どこにも隠れ場所はなく「あなた」の目を見ると、そこに俺自身がいた。
(ここで言うあなたは愛する人か、イエスとも取れる)

空の星を見上げて、星座を探すが、
瞬くたく間に煙に隠れてしまう。
手をハンドルにおき、何が真実か・・を思い。
そして俺の車は家に向かうようだ。

樫の木陰、河のほとり、
老人と少年が座り、
帆、船具、鯨を釣る用意をしている・・・
側にはふたりが大好きな婦人がたたずむ。
(この婦人は少年の母であり、老人の妻か)

あの月に人がいる、と言うくだらない曲が流れ・・
それで俺はあなたの存在を感じる。

ギターを始めて10年、かねてより好きだったこの曲、中学時代の友人
山田 三千夫に書き起こしを頼んだ。しばらくしてCメジャーの楽譜が
届いたチザキ先生にコードをつけて貰い練習したが、難しい。メロディーは
バイオリンで予習するのがいつもの手だが。
Willie Nelsonの歌曲は複雑なのだ。ひとつのワードを3-4の音で歌う。
(例えば“IN”をミ・ファ・ミ・レと)
老人のウィリーが若いミューシャンたちと共演した演奏

Willie Nelson and Boys Hands on the Wheel (Farm Aid 2020 On the Road)