アメリカの伝統的音楽というと

圧倒的に、ジャズJazaとカントリーミュージックCountry Musicだ。
欧州でクラッシック、オペラが盛んになった時代、アメリカは開拓時代であった。
現在のアメリカではクラシック、オペラ、バレエは非常に盛んであり、各地に交響楽団が編成され、ニューヨークのリンカーンセンターに代表される音楽の複合施設は各地にある。そして水準が高い音楽学校が。しかしアメリカは欧州各国に比べると、これら昔からの音楽は後追いの感は否めない。
オペラから派生したオペレッタは、ミュージカルとなりアメリカ、イギリスで興隆しているが。

私はカントリーミュージックファンだがジャズは仕事で長い付き合いがあった。
高名なミュージシャンとも会い、直接話をした経験がある。
レイ・チャールス、BBキング、マイルス・ディビス、エリック・クランプトン
ケニー・G、ウィンストン・マルサレス、ライオネル・ハンプトンなどなど・・

1984年、「ニューポートジャズフェスティバル」をクライアントのJVCがスポンサーになり、私が担当になった。「JVCニューポートジャズフェスティバル」と冠タイトルで。
8年間、毎年行った。
米国、ロードアイランド州、ニューポートの8月半ば過ぎ、週末2日間の野外イベントとそれに先立つ、7月のニューヨーク、カーネギーホールとかリンカーンセンターの屋内イベントがある。それに、
その間、フランス・ニース屋外とオペラ座など屋内、英国・プリンスアルバートホールなどの屋内、独ハンブルグ屋外などがセットの企画で、立ち会うと夏の間、出張の作業だったが、行く先々で音楽家に会い、音楽が聴けた。しかし「楽しい仕事ほど難しい」の言葉通り、苦労しながらも、無事に過ごすことができた。

この催しものはジョージ・ウィーン(2921没)のフェスティバルプロダクション社の
興業だった。ジョージとはニューヨークに転勤後も付き合いがあり、フェスティバルに
招待されて、仕事抜きに楽しんだ。

ジャズも分野が広く、そのルーツは教会で歌う演奏する曲だったそうだ。

ジョージ・ウィーンから直接聞いた「ジャズ講義」では、19世紀中頃、ブラス楽器を手にした黒人演奏家が南部で、教会曲、ゴスペルなどが始まりだった。媒体のない生演奏だけの時代、19世紀後半から、北にカンサスシティ、シカゴ、ニューヨークと盛んになる間に白人演奏家、白人ファンに広がった。この催しなどは白人マーケットをターゲットにしており、今はどちらかというと白人の音楽だ。興行的には黒人ミュージィシャンとの交渉は、ジョージの妻、ジョイスさんの担当だった。彼女は黒人だった。

カントリーミュージクにも同じルーツがあった。
欧州から移民がアパラチアに来て、持ち寄った楽器を家族や近所でそして教会で演奏したり歌ったりすることが一般的になった。昔々、人々が教会に集まることが一般的なころだ。
黒人も同じ。教会ではピアノやオルガン、聖歌隊がさまざまな歌を、それらの歌の多くは欧州からきたものではなく、米国で生まれたものだった。

それらが、ゴスペルGospelだ。ゴスペルは「福音」と訳される。
「良き知らせはイエスよりもたらされた」それが「福音」で、新約聖書の伝、マタイ、ヨハネの伝はゴスペルだ。福音派、Evangelicalは新教徒としてアメリカ大陸に渡って来きた人達、英国国教徒の分派を中心にプロテスタントと分類される。彼らの音楽がゴスペルだ。プロテスタントはアメリカ人口の半分で、他にもアイルランド、イタリア、中南米系などからのカソリックが人口の4分の1,つまり米国4分の3はキリスト教徒だ。ちなみに日本のキリスト教徒は人口の1%。
福音を歌にして信者が賛美歌として教会で歌うのは主にプロテスタントで、カソリックではオルガンなどに合わせ聖歌隊が歌う地味なものだ。カソリックのゴスペルは聞いたことがないが。

私の経験では、教会は主にカソリックと福音派に分かれるが、さらに白人と黒人に別れておりそこでの集いも明らかに異なる雰囲気だ。さらに同じプロテスタントでも南部と北部は
別の組織と言う人もいる。宗教だから複雑だ。しかし音楽は共通の歌曲が多い。
例えば、[Just Closer Walk With Thee]イエス様どうか私の傍を歩き下さい」と言う意味で
死を迎える気持ちが歌ってある。この曲は白人、黒人、関係なく広く歌われている。

Yutube: Closer walk with thee Treme ep1


Thee はイエスのこと。葬式で、弱い私が天国に召されることに沿って下さいと
言う意味。バンドが雇われ、葬列が地区の教会に行く間に演奏する方式。
この曲は元をアフリカ、カリブに発するものという。

一方、20世紀になり白人が書いた曲がある。イエスが磔になった十字架を
歌ったものだ。
The Old Rugged Cross 1912 by George Bennard 1872-1958
彼はEvangelist 伝道師、教会音楽リーダーで、本当に渋いひとだ。

ジョージ・ベンナードと彼のこの曲は誰にでも愛されている。
Yutube: The Old Rugged Cross

黒人のクラリネット奏者、ジョージ・ルイスGeorge Lewisとカルテット
1、 黒人ジャズ George Lewis The Old Rugged Cross

ジョニー・キャシュJhonny Cashと妻ジェーン・カーターAnita Carterの野球場での演奏
2、 白人カントリー Jhonny Cash   Carter 野球場の演奏

日本のジャズバンド、田村 真紀子のクライネット演奏。バンジョーと共演、上手だ。
3,old rugged cross new orleans jazz hounds

Just Closer Walk With Theeは、
先に書いたように、古いメロディーでニューオルリンズ葬式バンドの持ち歌だった。
昔から現代まで、黒人、白人、ジャズ、カントリーの定番曲。

ユーチューブ
ウイントン・マルサレスWynston Marsalisとエリック・クランプトンElick Clapton、コンサートホールにおけるニューポートジャズフェスティバル方式の演奏
1,Wynston Marsalis and Elick Clapton Just a Closer walk with Thee

一方、カントリーそれもブルーグラス系の演奏、フォギーマウンテンボーィズ
2,Foggy Mountain Boys Just a Closer walk with Thee

The Lilly of the Vally 谷間のゆり、イエス様のことを直接称える内容の曲、ウィリー・ネルソンWillie Nelsonの得意な曲だ。一方、黒人はアカペラで。

1, Jerry Lee Lewis and Jimmy Soarggaw  SBN   The Lilly Of The Valley

黒人のアカペラ
2, Jehough Shalom Acapella The LIILy of the Vally

また、神に近づく気持ちは「光を見た、見る」という表現になったようでそのような唄がある。
I see the light ,
I saw the light
この概念は黒人、白人に違いはない同じだ。
映画、ブルースブラザーズBrus Brothersのシーンに黒人教会のものがある。
映画用だが、雰囲気は分かる。
ユーチューブ
1,Bruse Brothers The Old Landmark シーン  Jamas Brown Can you see the light

2, ハンク・ウイリアムスHank Williams I saw the Light Anita Carter

有名な曲には
上記に加え、Amazing Grace Lead Guide Me In The Garden,
Help Me Jesus Why Me Lord
We Call On Him Peace In The Vally When The Saint Marching
In Down By The Riverside
I Hear The Sweet Voice Calling It Is Not A Secret,
How Great Thou Art
What A Friend We Have In Jusus IWill Fly Unclouded Day

カントリー歌手は大体、この手の歌アルバムを出している。
アラン・ジャクソンAlan Jackson が特に有名だ。
バック・オーエースBuck Owensのゴスペルは「ママの聖書」に代表される
ようにアルバムのほとんどが自作だ。
エルビス Elvis Preslyの場合は数十の唄を歌っていたが、彼が少年の頃に影響を受けた家の
前の黒人教会の影響と言われていた。
ゴスペル曲専門の歌手も人気がある。エイミー・グラントAmy Grant はVince Gillの妻だ.

ユーチューブ
Amy grant the word live vevo

黒人のゴスペルがジャズになり、その代表がブルースBruse だ。ブルーは悲しい色、
悲しい唄が語源だ。
・・
なお、イエス・キリストを言う言葉は多くあり、Jesus ,Thee, Lordなど。

日本の唱歌になったのはWhat A Friend We Have In Jesus「慈しみ深き友なるイエスよ」
明治時代、賛美歌として宣教師が持ち込んだメロディだ。
作詞ジョセフ・スクラィベェンJoseph Medlicott Scriven
1819-1896, 作曲チャールズ・コンバースCharls Crozat Converse1832-1918.
明治43年1910,「星の世界」と言う唱歌になった。

ユーチューブ
What a friend we have in jesus

Gospel music video from The brandenberger family What a friend we have in Jesus

かくのごとくゴスペルGospelがジャズJazzとカントリーミュージックCountry Musinの始まりと言っても過言ではないが現在のそれの雰囲気はそれなりに変化している。
(以上)