９、人間の原点、ＦＯＯＬとカントリーミュージック

「俺、私はＦＯＯＬだ、昔、そうだったと」言わないのは、人間らしくない、のがカントリーミュージックの原則だ。皆、高らかにＦＯＯＬと言う。
自分のことで恐縮だが、僕もＦＯＯＬだったなーと痛感する、この頃だ。
人生、何度もＦＯＯＬをした。まだ本当に懲りたとは言えないが。

カントリーミュージックは人間の心を唄う、心の痛みを唄っていると言って良い。
だからその原点、自分のＦＯＯＬさを唄うのが自然なのだ。
ＦＯＯＬ は名詞で、Foolish が形容詞だ。
同意語で Stupid, Idiotなどがある。行き過ぎるとCrazy, Madになる。
ＦＯＯＬの意味を知るに良い言葉は[April Fools] だ。背景はジョークだ。冗談なような非現実を表したのではないか。もしくは損得や前後を考えない熱中だ。
今の自分の心に正直なのが、カントリーのＦＯＯＬだ。

男女関係では、熱い思い、恋への執着、片思いだ。
騙している、騙されている、その振りをしているのもそうだ。
何かまずいことに突入するが、利害で判断しない、自分の心で決めることにこだわる。
これらも全部ＦＯＯＬだ。
ようするに運が良いか悪いかで深刻さは違う。

また、[Fooli’n Around]　と言う言葉があるが、これはFooling、大騒ぎすると言う俗語からきたが、「浮気する、セックスする」と言う意味だ。ハーラン・ハワード（Haran Howard）が書き、バック・オーエンスとバッカルーズ(Buck Owens and Buckaroos)の歌で有名だ。パッツイ・クライン(Patsy Clein)もそして、デワイト・ヨーカム(Dwight Yokam)、ビンス・ギル(Vince Gill)も唄った。アップテンポでコミカルな曲だ。

カントリーミュージックでは悩みもなく一直線に人生を歩んできた人間は無価値な存在だ。
残念ながらそういう人間は昨今多い。
生き方を反省しない人間は心がない。仏教的には無数にあると言う「煩悩」のひとつだろう。キリスト教のカントリーでも言葉の意味は同じだ。
「Are you a fool?　」こう聞かれたら、
「WELL, I’M A DAMN FOOL.」　と答えるのがカントリーミュージック流だ。

ＦＯＯＬを冠にした歌はこんなにある。カントリーだけでなくあらゆるジャンルの曲に共通で数百ではきかない数があろう。

そして以上のよう題名だけでなく歌詞には無限に[ＦＯＯＬ]が出てくる。

昔から現在まで様々な歌手がFOOL’S GREAT SONGSを唄っている。題名を読んだだけでもカントリーミュージックが言うＦＯＯＬＳは想像できる。
僕はそういうＦＯＯＬＳが好きだ。
人間、ＦＯＯＬな面がない奴らはまるで魅力がない。
もうひとつ、ＦＯＯＬをしなかったら自分の人生はもっとましだったか？
恐らくもっと惨めだったのではないか。（以上）